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DSLや光接続のほかに高速インターネット接続の代表としてあげられるのが、ケーブルTVの配
線を利用するケーブルインターネットです。アメリカ、日本ともに都市部ではDSLとケーブルの両
方とも複数入り込んでいる地域が結構あると思います。そこで、ケーブルと他のブロードバンド
接続、どっちの方がいいのだろうか、と疑問に思われている方も多いと思います。
そこでケーブルとDSLの違いを簡単にご説明させていただきます。
まず簡単にケーブルインターネットの仕組みについてご説明させていただきます。ケーブルでは、
接続終端装置にケーブルモデムを使います。家まで来ている(あるいは工事をしてもらう)ケー
ブルTVの配線にケーブルスプリッターを接続分離、ケーブルモデムを接続し、そこから先はイー
サネットまたはUSBでパソコンまでつなぐ仕組みになっています。したがって、ケーブルモデムから
先は他のブロードバンド接続とほぼ同じ構成で動作することになります。実際、ブロードバンド
ルータはDSLとケーブル両方の対応を謳ったものがほとんどです。
では、ケーブルモデムからケーブル局への接続はどうなっているのかというと、DSLが
CO(Central
Office、収容局)まで一直線に繋がっているのに対し、ケーブルTVの配線は、
まるでLANで繋がっているかのようにご近所への配線と回線を共有しています。まとめたところで
始めてケーブル局までの接続となるわけです。
接続概念図
ケーブルの場合
30Mbpsぐらいの回線幅をご近所と共有しているので、そのとき繋がっているユーザー数や、そ
れぞれがどのぐらいのデータをダウンロードしているかによって接続スピードが異なる。
DSLの場合
各戸が直接収容局へ接続されます。接続スピードは各戸から収容局への距離で若干異なり
ますが、収容局までのスピードは接続ユーザ数に左右されず常に一定です。数値は
DSL1.5Mbpsを前提とした例ですが、光でも同じ仕組みとなっています。
ではスピードは一体どちらの方が速いのでしょうか? 一般的にケーブルの方がDSLより速
いと言われていることがありますが、落とし穴はこのご近所との回線共有です。最小単位では
約30Mb(業者によって異なる)をご近所の接続と回線を共有していますから、誰も使っていな
ければ理論上30Mbを独り占めでき、「信じられないぐらい速い」常時接続が手に入るわけです
が、トラフィックが込んでくる5時以降はかなりのスピード低下が起きてきます。どのくらいのユーザ
数で30Mbを共有するかによって最低スピードは変わってきますが、DSLのように平均的なス
ピードで接続が出来るというわけではありません。DSLでの接続もユーザが増えればスピードは
上流で低下しますが、これはケーブルでも同じことです。このため、ケーブルインターネット業者
では、スピードについて数字を言及することを避けているフシがあります。
ご近所で配線を共有していることでデメリットになるのがセキュリティです。ケーブル会社によっ
ては、まったくセキュリティに注意をはらっておらず、同じマンションや近所の家が接続しているマ
シンが自分の「ネットワークコンピュータ」から見えてしまうという事があるらしいです。まぁそこまで
ひどいのは論外として、暗号化をしないで通信の共有をしている場合は、スニッフィング(イン
ターネット上を流れるデータを盗み見られる)される危険性が非常に高いと言えます。こればっ
かりはルータを介しても防げませんから、気になる方はケーブル会社に確認しておく必要がある
でしょう。 もうひとつデメリットをあげると、ケーブル会社のサービスでは割り当てられるアドレスが
プライベートIPの場合がけっこうある点と、ルータによる接続共有を規定で禁止しているケース
があることです。これは接続方法上一人のユーザが回線を大きく独占しないためのものだとされ
ていますが、ユーザからしてみれば不便この上ありません。
DSLといってもいくつか種類があるのをご存知ですか? 以下に簡単に紹介します。DSL
(Digital Subscriber
Line)は、既存の電話回線を、そのまま利用した高速なデジタル通信を
するための技術ですが、その方式の違いによりADSL、HDSL、VDSL、IDSL、SDSL、MDSL
などがあり、これらを総称してxDSLと呼びます。
ADSL(Asymmetric
DSL)
は最も普及しているDSLで、インターネットでも使用されています。米国で一般にDSLと呼ばれ
ているものはADSLになります。ちなみに日本ではADSLと呼んでいます。上りと下りの速度が異
なる非対称な通信で、最初はVODのために開発されました。最近では、インターネット人口も
増え、下りのトラフィックが増加の傾向にあることからインターネットに最適なDSLとして注目され
ています。なんといってもADSLのメリットは、既存の電話が使えることです。
伝送方式は、D.DMT(従来のCAP方式とDMTを合わせたもの)とG.Lite(1998年のITU-T標
準規格)が使われています。
HDSL(High-Bit-Rate
DSL)
は米国のT1回線の代替用に開発されたDSL技術で2ペア(4導線)のメタルケーブルを使って
T1対応の1.5MやE1対応の2Mbpsの固定速度での対称通信方式です。ただ、この技術は、
通信会社などが、幹線部分での通信を目的にしているのでユーザーインターフェースはV3.5の
シリアルやT1、E1のみが対象のため一般ユーザーには、あまり使用されることがありません。開
発当初は2B1Q方式が使われていましたが最近ではCAP方式が主流になりました。
SDSL(Simmetric
DSL)
は、上りと下りの転送速度が同一の、対称通信方式で伝送速度は2〜3Mbpsが可能です
が、電話とは共存出来ません。伝送方式は2B1QとCAPが使用されています。このDSL最大
の特長は、なんといっても10BASE-Tをサポートしていることでしょう。
MDSL(Multirate
DSL)
は、272kbps〜784kbps間の伝送速度で、可変伝送をすることが目的です。2B1Qを使用し
ますが、まだ実用化はされていません。
VDSL(Very-High-Bit-Rate)
は、ADSLを高速化した伝送方式ですが、最大で52Mbpsの転送レートが可能です。ただ、メ
タルケーブルを使用しているので、損失が大きくなってしまいます。この理由から、伝送距離は
最大でも数百メートルが限界です。この損失を改善するための対策として、メタルケーブルと光
ケーブルを混在させています。
IDSL(ISDN DSL)
は、最近注目を集めている、ISDNを利用したDSL伝送方式です。電話とデータ転送を、同時
に使用することができます。